障害福祉事業所の資金繰り管理|毎月確認すべき3つの指標
「売上はあるはずなのに、なぜか手元にお金が残らない…」
障害福祉事業所の経営者様から、このようなご相談をよくいただきます。この記事では、資金繰りを安定させるために毎月必ず確認していただきたい3つの指標を、具体的な数字の目安とともにお伝えします。
障害福祉事業所の資金繰りが苦しくなりやすい理由
まず前提として、障害福祉事業所には他の業種にはない資金繰りの難しさがあります。
最大の原因は、国保連(国民健康保険団体連合会)からの入金タイムラグです。サービスを提供した月の翌々月にようやく入金されるため、実際にお金が手元に届くまで約2か月かかります。
例えば、4月に提供したサービスの報酬は、5月10日頃に請求して6月下旬に入金されます。一方で、4月分の人件費や家賃は4月末〜5月初旬に支払わなければなりません。
つまり、お金が入ってくる前に出ていく構造になっているのです。
開業直後は特に厳しく、最初の入金があるまでの2〜3か月分の運転資金を確保しておかないと、いきなり資金ショートを起こしてしまうケースもあります。
だからこそ、「なんとなく通帳を見て安心する」のではなく、数字で資金繰りの状態を把握する習慣がとても大切です。
毎月確認すべき3つの指標
指標①:月末の手元資金残高(最低ラインは月間固定費の2か月分)
最も基本的な指標が、月末時点でいくらの現金・預金が手元にあるかです。
目安として、毎月の固定費(人件費+家賃+その他固定経費)の2か月分以上を常にキープしてください。
例えば、毎月の固定費が300万円の事業所であれば、月末の手元資金は600万円以上が安全ラインです。
この数字を下回ってきたら「黄色信号」です。国保連の入金遅れや利用者数の減少が重なると、一気に資金が枯渇する可能性があります。
毎月末に通帳残高を記録するだけでも十分です。 Excelやメモ帳に「○月末:○○○万円」と書いていくだけで、増減の傾向が見えてきます。
指標②:人件費率(売上に対して60〜70%が目安)
障害福祉事業は人が中心のサービスですので、経費の大部分が人件費です。
確認していただきたいのは、売上(給付費収入+利用者負担金など)に対する人件費の割合です。
人件費率 = 人件費 ÷ 売上 × 100
事業の種類によって異なりますが、一般的な目安は以下のとおりです。
- 就労継続支援A型・B型:60〜70%
- 放課後等デイサービス:55〜65%
- グループホーム:55〜65%
この数字が70%を超えてくると、資金繰りはかなり厳しくなります。家賃や光熱費、消耗品費などを支払うと、ほとんど手元に残りません。
人件費率が高くなりすぎている場合は、「加算の取り漏れがないか」「利用者数に対してスタッフが多すぎないか」を見直すポイントにしてください。逆に人件費率が低すぎる場合は、スタッフの離職リスクにも注意が必要です。
指標③:国保連への請求額と入金額の差異チェック
意外と見落としがちなのが、請求した金額と実際に入金された金額が一致しているかの確認です。
国保連への請求は、記載内容の誤りや算定要件の不備があると返戻(へんれい)となり、請求額どおりに入金されません。
毎月、以下の点をチェックしてください。
- 返戻があった場合、その理由は何か
- 再請求の手続きは済んでいるか
返戻が放置されたままになっていると、数十万円単位の入金漏れが発生していることもあります。「請求したから大丈夫」ではなく、入金まで確認して初めて完了と考えましょう。
毎月の入金日に、国保連からの通知書と通帳を突き合わせる作業を習慣にしていただくのがおすすめです。
まとめ
障害福祉事業所の資金繰りを安定させるために、毎月確認すべき3つの指標をまとめます。
- 月末の手元資金残高 → 固定費の2か月分以上をキープ
- 人件費率 → 売上の60〜70%を目安に管理
- 国保連への請求額と入金額の差異 → 返戻を放置しない
どれも特別な会計知識がなくても確認できるものばかりです。大切なのは「毎月必ず見る」という習慣です。
資金繰りは、問題が大きくなってからでは対応が難しくなります。早めに数字の変化に気づくことで、融資の検討や経費の見直しなど、打てる手が増えます。
「数字を見る時間がなかなか取れない」「そもそもどこを見ればいいかわからない」という方は、ぜひ専門家にご相談ください。
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