就労継続支援B型の工賃は経費になる?工賃と賃金の違い・就労支援事業会計を税理士が解説

就労継続支援B型の工賃は経費になる?工賃と賃金の違い・就労支援事業会計を税理士が解説

「利用者さんに支払う工賃は、経費として処理していいの?」「A型の賃金とは何が違うの?」——就労継続支援B型を運営されている方から、工賃まわりの会計についてよくご質問をいただきます。工賃は、ただ経費に入れればよいというものではなく、B型特有のルール(区分経理や積立金)を理解しておく必要があります。この記事では、工賃と賃金の違いから、就労支援事業会計の考え方、工賃変動積立金の仕組みまで、障害福祉専門の税理士がわかりやすく解説します。

目次

工賃と賃金は何が違うのか

まず押さえたいのが、「工賃」と「賃金」は別物だという点です。混同されがちですが、税務・会計上の扱いも大きく異なります。

項目就労継続支援B型の「工賃」就労継続支援A型の「賃金」
利用者との関係雇用契約ではない(利用契約)雇用契約を結ぶ
最低賃金規制なし最低賃金法が適用(大阪府は時給1,177円/2025年10月〜)
支払いの性質生産活動への対価としての工賃労働の対価としての賃金
源泉徴収給与所得としての源泉徴収は不要給与として源泉徴収が必要
原資生産活動収入から支払うのが原則生産活動収入から支払うのが原則

B型は雇用契約を結ばないため、利用者へ支払うのは「賃金」ではなく「工賃」です。雇用ではないので最低賃金の規制を受けず、給与としての源泉徴収も原則として不要です。一方A型は雇用契約に基づくため、最低賃金以上の「賃金」を支払い、給与として源泉徴収を行います。この性質の違いが、会計処理の出発点になります。

工賃は経費になる?——答えは「就労支援事業の費用になる」

結論から言えば、利用者へ支払う工賃は事業の費用(損金)になります。ただし、一般の給与のように単純に「給料手当」で処理するのではなく、就労支援事業の費用として扱う点がポイントです。

B型・A型・就労移行支援などの就労系サービスを行う事業所には、「就労支援の事業の会計処理の基準」(厚生労働省)に基づき、福祉事業(給付費で運営する部分)と生産活動(製品の製造・受託作業など)の会計を区分して経理することが求められています。これを就労支援事業会計と呼びます。

この区分経理のなかで、工賃は生産活動に係る費用として「就労支援事業販売費」や「就労支援事業製造原価」などに計上されます。給付費で運営する福祉事業の費用とは分けて管理する必要があるため、「とりあえず給料手当に入れておく」という処理は適切ではありません。

給付費から工賃を支払うのは原則NG

就労支援事業会計でとくに重要なのが、工賃は生産活動収入から支払うのが原則であるという点です。国保連から入ってくる給付費(基本報酬)は、職員の人件費や事業所の運営費に充てるためのもので、これを利用者の工賃に流用することは原則として認められていません。

そのため、生産活動の収支が赤字続きだと、工賃の安定支払いそのものが難しくなります。「いくらの工賃を払うか」は、給付費とは切り離して、生産活動でいくら稼げているかを見ながら考える必要があります。だからこそ、生産活動の収入と費用を区分経理でクリアに把握しておくことが欠かせないのです。

工賃変動積立金・設備等整備積立金とは

就労支援事業会計には、一般の会社会計にはない「積立金」の仕組みがあります。代表的なものが工賃変動積立金設備等整備積立金です。

工賃変動積立金

生産活動の収入は、景気や受注状況によって年度ごとに増減します。収入が落ち込んだ年でも利用者の工賃を一定水準に保てるよう、好調な年度の剰余金の一部を積み立てておくのが工賃変動積立金です。

具体的には、天災などで工賃が大きく減った年度を除いた過去3年間の最低工賃水準を下回った年度に、この積立金を取り崩して工賃を補填し、利用者へ支給します。利用者の生活の安定を支えるための、B型ならではの仕組みです。

設備等整備積立金

生産活動に使う機械や設備の更新・修繕に備えて積み立てるのが設備等整備積立金です。いずれの積立金も、計上する際には同額の積立資産(現預金など)を固定資産として計上する必要があります。帳簿上で積立金を計上するだけでなく、実際に対応するお金を確保しておくのがルールです。

これらの積立金には積立の上限など細かい要件があり、事業区分・経理区分ごとに計算します。判断に迷う場合は、就労支援事業会計に詳しい税理士に確認することをおすすめします。

まとめ

就労継続支援B型の工賃の税務・会計について、ポイントを整理します。

  1. B型は雇用契約ではないため、支払うのは「賃金」ではなく「工賃」
  2. 工賃は就労支援事業の費用として、区分経理のうえ計上する
  3. 工賃は生産活動収入から支払うのが原則で、給付費からの流用は原則NG
  4. 工賃の安定支払いのため工賃変動積立金(過去3年の最低工賃を保障)の仕組みがある
  5. 積立金には同額の積立資産(現預金等)を確保しておく必要がある

就労支援事業会計は、一般の会社会計とはルールが異なる専門性の高い分野です。区分経理や積立金を正しく処理しておくことは、実地指導への備えにもなります。処理に不安がある場合は、障害福祉に強い税理士に相談すると安心です。


制度・会計基準を確認できる公的機関のリンク


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Hands On会計事務所は、大阪府柏原市を拠点に、障がい福祉事業者様の税務・会計をサポートしています。就労継続支援B型の就労支援事業会計(区分経理)・工賃変動積立金の処理・生産活動収支の管理まで、専門的にお手伝いします。個別支援計画AIや予約管理システムなどのITツールも顧問先に無償でご提供しています。初回相談は無料です。柏原市・東大阪市をはじめ大阪府全域の障がい福祉事業者様からのご相談をお待ちしております。

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