障害福祉事業所の決算で税理士がチェックする5つのポイント
「決算が近いけど、何を確認しておけばいい?」という障害福祉事業所の経営者からの相談は、毎年この時期に増えます。決算は1年間の経営成績を確定させ、納税額を計算する重要な作業です。この記事では、税理士が決算で必ず確認する5つのポイントを、障害福祉事業所の特性に合わせて解説します。
① 報酬収入の計上漏れがないか
障害福祉事業所の主な収入は、国保連経由で支払われる給付費(介護給付費・訓練等給付費等)です。決算では、サービス提供月(発生主義)で収入を計上する必要があります。
3月にサービス提供→4月に国保連請求→5月に入金、というケースでは、3月分は3月の売上として計上します(未収入金)。入金日基準で処理していると、決算月をまたいだ売上が翌期にずれてしまうため注意が必要です。
加算分(処遇改善加算・送迎加算など)も同様に、サービス提供月で計上します。
② 加算返戻・過誤調整の確認
国保連からの返戻・過誤調整があった場合、その処理が正しく反映されているか確認します。返戻になった請求は売上から取り消し、再請求した場合は再請求月で計上します。
決算前に「請求と入金の差額が大きい」場合は、返戻や過誤の未処理が残っていることが多いため、洗い出しが必要です。
③ 人件費比率の妥当性
障害福祉事業の人件費比率(人件費÷売上)は60〜70%が目安とされています。これを大きく超えている場合、決算書として「赤字」になりやすく、銀行融資の評価にも影響します。
決算時には以下を確認します:
- 役員報酬は定期同額になっているか
- 賞与の損金算入要件を満たしているか
- 労働保険料・社会保険料の未払計上が正しいか
- 退職給付引当金の計上漏れがないか
④ 減価償却資産の処理
送迎車両・建物附属設備・備品など、固定資産の減価償却は決算で必ず行います。
| 資産 | 法定耐用年数(目安) |
|---|---|
| 送迎用普通車 | 6年 |
| 軽自動車 | 4年 |
| 建物附属設備 | 13〜15年 |
| 事務机・椅子 | 8年 |
中古資産は耐用年数の短縮計算が可能です。30万円未満の少額減価償却資産の特例も、決算で漏れなく適用しましょう。
⑤ 消費税の課税区分の整理
障害福祉事業の収入は、給付費(非課税)・利用者負担金(非課税)・送迎加算(非課税)・実費徴収(課税:光熱費等)など、消費税の取り扱いが入り混じります。
課税売上と非課税売上の区分が誤っていると、消費税の納付額が変わります。特にグループホームでは、家賃収入(非課税)と光熱費(課税)の区分を慎重に確認します。インボイス登録事業者の場合、仕入税額控除の計算にも影響します。
まとめ
決算は「数字を確定させる作業」ではなく、「1年間の経営を振り返る機会」でもあります。早めに税理士と打ち合わせて、課税売上の区分・加算返戻の整理・固定資産の処理を進めておきましょう。
決算前のタイミングで税務相談をすることで、節税の選択肢(少額減価償却・経営強化税制等)を活用できる場合もあります。
参考資料
- [国税庁|申告書の自主点検と税務上の自主監査](https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/hojin/sanko/tk.htm)
- [国税庁|法人税のあらましと申告の手引(令和6年版)](https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/aramashi2024/01.htm)
- [WAM|経営分析参考指標](https://www.wam.go.jp/hp/keiei-index/)
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