就労継続支援B型の目標工賃達成指導員配置加算|令和6年改定後の単位数と要件を税理士が解説
「目標工賃達成指導員配置加算って、うちの事業所でも取れるの?」「令和6年度の改定で単位数が変わったと聞いたけど、結局いくらになったの?」というご相談をよくいただきます。
この記事では、就労継続支援B型の事業所が活用できる目標工賃達成指導員配置加算について、令和6年度報酬改定後の単位数・算定要件・新しく設けられた「目標工賃達成加算」との関係まで、専門用語をかみ砕いてお伝えします。
目標工賃達成指導員配置加算とは?
目標工賃達成指導員配置加算とは、利用者さんに支払う工賃の向上を目指して、専任の「目標工賃達成指導員」を配置した場合に算定できる加算です。就労継続支援B型の事業所が対象になります。
就労継続支援B型は、一般企業で働くことが難しい方に対して、働く場と訓練の機会を提供するサービスです。利用者さんの工賃をいかに向上させるかは、事業所の大きなテーマですよね。この加算は、まさにその「工賃向上への取り組み」を後押しするために設けられた仕組みです。
令和6年度改定で単位数が大きく下がりました
ここで必ず押さえていただきたいのが、令和6年度報酬改定で単位数がほぼ半減したという点です。改定前後の単位数(1日あたり)を定員別にまとめると、次のとおりです。
| 利用定員 | 令和6年度〜(現行) | 改定前(〜令和5年度) |
|---|---|---|
| 20人以下 | 45単位 | 89単位 |
| 21人以上40人以下 | 40単位 | 80単位 |
| 41人以上60人以下 | 38単位 | 75単位 |
| 61人以上80人以下 | 37単位 | 74単位 |
| 81人以上 | 36単位 | 72単位 |
「以前の資料で89単位と書いてあった」という場合は、改定前の古い数字です。現行は20人以下で45単位ですのでご注意ください。
なお、加算によって増えた報酬(国保連からの入金)の消費税の扱いについては、[就労継続支援B型の消費税処理|事業所が押さえておくべきポイント](https://hands-on-tax.com/shurohb-tax/)で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。
算定するための要件
目標工賃達成指導員配置加算を算定するには、大きく分けて次の要件を満たす必要があります。
要件①:就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)または(Ⅳ)を算定している
そもそもの前提として、平均工賃月額に応じた報酬体系(サービス費ⅠまたはⅣ)を算定している事業所が対象です。利用者の参加実績で評価する報酬体系(ⅡやⅤなど)を選んでいる場合は対象外となります。
要件②:工賃向上計画を策定している
都道府県が策定する「工賃向上計画」を踏まえて、事業所独自の工賃向上計画を作成していることが必要です。具体的には、以下のような内容を盛り込みます。
- 現在の平均工賃と目標額
- 工賃向上のための具体的な取り組み内容(販路開拓・作業内容の改善・技術指導など)
- スケジュールや達成の見込み
計画は「作って終わり」ではなく、定期的に見直すことが大切です。
要件③:目標工賃達成指導員を常勤換算で1名以上配置する
人員配置基準で求められる職業指導員・生活支援員とは別に、工賃向上を担当する目標工賃達成指導員を常勤換算で1名以上配置することが必要です。
要件④:人員配置の比率を満たす
加算を算定するには、次の2つの比率を同時に満たす必要があります。
- 職業指導員と生活支援員の総数が、利用者数に対して6:1以上
- 目標工賃達成指導員を含めた指導員・支援員の総数が、利用者数に対して常勤換算5:1以上
つまり、目標工賃達成指導員は「基準の人員に上乗せして配置する」というイメージです。人員配置基準上の職業指導員・生活支援員の人数を減らして指導員に回す、ということはできませんのでご注意ください。
令和6年度新設「目標工賃達成加算」もセットで押さえる
令和6年度改定では、配置加算の単位数が下がった一方で、新しく「目標工賃達成加算(10単位/日)」が設けられました。
これは、目標工賃達成指導員配置加算を算定している事業所が、工賃向上計画に基づいて実際に工賃を向上させた場合に、上乗せで算定できる加算です。
| 加算名 | 単位数(1日・定員20人以下) | ポイント |
|---|---|---|
| 目標工賃達成指導員配置加算 | 45単位 | 指導員を配置すれば算定(取り組みを評価) |
| 目標工賃達成加算 | 10単位 | 実際に工賃が向上したら上乗せ(成果を評価) |
配置加算が「取り組みへの評価」、達成加算が「成果への評価」という位置づけです。配置加算を取ったうえで、しっかり工賃を伸ばせば達成加算も取れるという二段構えになっています。
届出から算定までの流れ
ここからは、実際に加算を届け出るまでのステップを見ていきましょう。
- 工賃向上計画を策定する:都道府県の工賃向上計画の内容を確認し、自事業所の目標や取り組みを具体的に書き出します。
- 目標工賃達成指導員を確保する:常勤換算1名以上を、基準人員とは別に配置します。
- 体制届を提出する:加算の届出は、指定権者(大阪府や各市町村)に「体制届」として提出します。一般的には加算届出書・勤務体制一覧表・工賃向上計画の写しなどが求められます。締め切りは毎月15日まで(翌月1日から算定開始)とされることが多いですが、自治体ごとに異なるため必ず事前に確認しましょう。
- 算定開始・実績の記録:届出が受理されれば算定がスタートします。算定後も、指導員がきちんと配置されているか、計画に沿った取り組みが行われているかを記録に残しておくことが重要です。
実地指導(運営指導)では、計画と実績の整合性を確認されることがあります。「計画を作ったけれど実際には何もしていなかった」「加算の要件となる人員の配置をしていなかった」となると、加算の返還を求められるリスクもありますので気をつけてください。
まとめ
目標工賃達成指導員配置加算は、工賃向上に取り組む就労継続支援B型事業所を支える加算です。ポイントを整理します。
- 令和6年度改定で単位数が減額(定員20人以下で89単位→45単位)された
- 算定にはサービス費ⅠまたはⅣ・工賃向上計画・指導員の専任配置・人員比率の要件を満たす必要がある
- 令和6年度新設の目標工賃達成加算(10単位/日)は、配置加算を算定したうえで実際に工賃が向上した場合に上乗せできる
- 届出書類を期日までに提出し、計画に基づいた取り組みの記録を残す
「うちの事業所で取れるかどうか判断がつかない」「書類の準備が不安」という方は、ぜひ一度ご相談ください。事業所の状況に合わせて、最適な加算の組み合わせをご提案いたします。
あわせて読みたい
- [就労継続支援B型の消費税処理|事業所が押さえておくべきポイント](https://hands-on-tax.com/shurohb-tax/)
参考リンク(公的機関)
- [令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容(厚生労働省)](https://www.mhlw.go.jp/content/12201000/001217865.pdf)
- [就労継続支援A型、B型に係る報酬・基準について(厚生労働省)](https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12201000-Shakaiengokyokushougaihokenfukushibu-Kikakuka/0000182984.pdf)
- [基本報酬について(大阪府)](https://www.pref.osaka.lg.jp/o090080/jigyoshido/jiritu_top/kihon_hoshu.html)
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