処遇改善加算の税務処理|給与として支給するときの注意点
処遇改善加算を受け取ったものの、「経理上どう処理すればいいの?」「源泉徴収は必要?」と迷っていませんか?この記事では、処遇改善加算を職員に給与や賞与として支給するときの税務処理のポイントを、専門用語をできるだけ使わずに解説します。知らずに処理を間違えると、税務調査で指摘を受けたり、職員との間でトラブルになることもあるので、ぜひ最後までお読みください。
そもそも処遇改善加算は「売上」として計上する
まず大前提として押さえていただきたいのが、処遇改善加算は事業所の「売上(収益)」として計上するということです。
「国からもらった補助金のようなものだから、売上ではないのでは?」と思われる方もいらっしゃいますが、処遇改善加算は報酬の一部です。通常の障害福祉サービス費と同じように、国保連から入金されたタイミングで売上に計上します。
勘定科目としては、次のどちらかのパターンが一般的です。
- 他の報酬と分けずに「介護報酬収入」や「障害福祉サービス等事業収入」に含める
- 「処遇改善加算収入」など専用の勘定科目を設けて管理する
加算の使い道を明確にするためにも、専用の勘定科目で分けて管理する方法をおすすめしています。実績報告書を作成するときにも、金額の突合がスムーズになります。
給与・賞与として支給するときの3つの注意点
処遇改善加算は、最終的に職員の賃金改善に充てなければなりません。毎月の給与に上乗せする方法と、賞与(一時金)でまとめて支給する方法がありますが(処遇改善計画書に記載)、いずれの場合も次の3つのポイントに気をつけてください。
① 源泉所得税の天引きが必要
処遇改善加算から支給されたお金であっても、職員にとっては「給与所得」です。つまり、通常の給与・賞与とまったく同じように源泉所得税を天引きしなければなりません。
「加算分だから非課税」ということは一切ありませんので、給与明細にもきちんと記載し、年末調整の対象に含めてください。
② 社会保険料・雇用保険料の対象になる
源泉所得税と同様に、社会保険料(健康保険・厚生年金)や雇用保険料の算定基礎にも含まれます。
特に注意が必要なのは、賞与として支給するケースです。賞与を支給した場合は「賞与支払届」を年金事務所に提出する義務があります。届出を忘れると、後から届出漏れを指摘されて修正が発生することがあります。
また、毎月の給与に上乗せする場合は、算定基礎届(毎年7月)や月額変更届の対象になる可能性もあります。「加算分を上乗せしたら月額が大きく変わった」というケースでは、社会保険料の等級が変わることがあるため注意しましょう。
③ 支給方法と時期を就業規則・賃金規程に明記する
処遇改善加算の支給ルールが就業規則や賃金規程に書かれていないと、職員から「なぜこの金額なのか」「いつもらえるのか」と不満が出ることがあります。
税務上も、賞与として損金(経費)に計上するためには、支給時期や算定方法がある程度明確になっている必要があります。「なんとなく年度末に余った分を配る」というやり方では、税務調査の際に経費性を疑われるリスクがゼロではありません。
支給対象者・配分方法・支給時期を明文化しておくことが、税務面でもリスク管理の面でも大切です。
実績報告書と帳簿の金額を一致させることが重要
処遇改善加算には、年度ごとに実績報告書を行政に提出する義務があります。この報告書に記載する「賃金改善額」と、実際の帳簿上の給与・賞与の金額が一致しているかどうかは、行政の確認ポイントになります。
帳簿と報告書の数字がずれてしまう原因として多いのが、次のようなケースです。
- 法定福利費(事業主負担分の社会保険料)を賃金改善額に含めるかどうかの認識違い
- 支給時期と会計上の計上時期のずれ(例:3月分の加算を4月に支給した場合)
- パート職員への配分を帳簿上で区別していない
こうしたずれを防ぐためには、処遇改善加算の入金・支給を月ごとに管理する一覧表を作っておくのがおすすめです。当事務所の顧問先には、Excelで簡単に管理できるテンプレートをお渡ししています。
まとめ
処遇改善加算の税務処理で押さえておきたいポイントをおさらいします。
- 処遇改善加算は事業所の売上(収益)として計上する
- 職員への支給は給与所得となり、源泉所得税の天引きが必要
- 社会保険料・雇用保険料の対象にもなる(賞与支払届も忘れずに)
- 就業規則や賃金規程に支給ルールを明記しておく
- 実績報告書と帳簿の金額を一致させる管理体制を整える
処遇改善加算は職員の待遇を改善するための大切な制度ですが、税務・労務の処理を正しく行わないと、思わぬところで問題が生じます。「うちの処理方法で合っているか不安」という方は、お気軽にご相談ください。
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