グループホームの家賃・光熱費の会計処理|消費税の課税・非課税を税理士が解説
グループホーム(共同生活援助)を運営していると、「利用者から受け取る家賃や光熱費はどう会計処理すればいい?」「消費税はかかるの?」という疑問が出てきます。この区分を誤ると、消費税の申告で過不足が生じたり、実地指導で指摘を受けたりすることがあります。結論から言うと、家賃は非課税、共用部分の費用を家賃と一体で受け取る共益費も非課税です。専有部分の光熱費を家賃と別建てで受け取る場合だけは取扱いが分かれるため個別の確認が必要で、いずれにしても報酬・家賃・光熱費・補助金は売上科目を分けて管理することが要点です。
グループホームの家賃・光熱費は誰が負担し、どう区分する?
グループホームでは、利用者が居住費(家賃)・光熱費・食費などを事業所に支払い、事業所は大家への賃借料・光熱費・食材費などを支出します。会計のポイントは、「利用者から受け取るお金」と「事業所が支払うお金」を、それぞれの消費税区分ごとに分けて管理することです。
特に重要なのは、受け取るお金が次の3種類に分かれる点です。
- 障害福祉サービス費(共同生活援助の報酬)=非課税
- 利用者から受け取る家賃・共益費(共用部分の費用を家賃と一体で受領)=非課税
- 利用者から個別に受け取る専有部分の光熱費=取扱いが分かれる(個別確認が必要)
これらを「売上」一本でまとめてしまうと、消費税の計算ができないうえ、区分をあとから検証することもできなくなります。
この論点でお困りではありませんか?
家賃・光熱費・食材費を、非課税・課税・預り金のどれで記帳するかを、契約書と利用者への請求書の書き方までさかのぼって整理します。実地指導でも早い段階で確認されるところです。
利用者から受け取る家賃の消費税は課税?非課税?
利用者から受け取る家賃は、住宅の貸付けにあたるため消費税は非課税です。国税庁も、住宅の貸付け(契約で人の居住用と明らかにされているもの等)は非課税と明記しています(国税庁 No.6226)。
「住宅の貸付け」とは、契約上、貸付期間が1か月以上で人の居住用とされている建物の貸付けをいい、これは消費税が非課税となる取引です。事業所が大家へ支払う居住用建物の賃借料も、同じく非課税仕入れになります。
なお、共用部分(廊下の照明・共用部の光熱費・集会室の維持費など)の費用を入居者が応分に負担する、いわゆる共益費を家賃と一体で受け取る場合は、家賃に含まれ非課税です(国税庁 No.6226)。
注意したいのは、この家賃収入は障害福祉サービス費(介護給付費・報酬)とは別の収入だという点です。報酬は社会福祉事業のサービス提供として非課税ですが(国税庁 No.6201)、根拠も性質も家賃とは異なるため、売上科目を分けて管理します。
利用者から受け取る光熱費は課税?非課税?
利用者から専有部分の電気・ガス・水道料金を個別に受け取る場合、消費税の取扱いは見解が分かれます。当事務所は「原則課税」とも「原則非課税」とも断定せず、個別に確認していただくようご案内しています。 判断が分かれるのは、同じ収入に2つの枠組みが当てはまるためです。
- 非課税とする整理(社会福祉事業として見る):光熱水費は「指定共同生活援助において提供される便宜に要する費用」として、指定障害福祉サービス基準(平成18年厚生労働省令第171号)210条の4第3項3号に明記されています。社会福祉事業として行われる資産の譲渡等は非課税とされており(消費税法 別表第二 第七号ロ)、同号ロには、介護保険(同号イ)にある「特別な食事の提供」「送迎」等を課税とする除外規定が置かれていません。
- 課税とする見解(住宅の貸付けとして見る):国税庁の質疑応答事例「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」では、賃料とは別に収受する電気・ガス・水道使用料は、実績請求・定額請求のいずれも課税とされています。ただしこれは一般の集合住宅についての事例であり、障害福祉のグループホームを直接扱った国税庁の公表事例は見当たりません。
| 利用者から受け取るお金 | 消費税の区分 |
|---|---|
| 障害福祉サービス費(報酬) | 非課税(社会福祉事業/国税庁 No.6201・消費税法 別表第二 第七号ロ) |
| 家賃 | 非課税(住宅の貸付け/国税庁 No.6226) |
| 共益費(共用部の費用を家賃と一体で受領) | 非課税(家賃に含まれる/国税庁 No.6226) |
| 個別に受け取る専有部分の光熱費 | 取扱いが分かれる(個別確認が必要)/両説の根拠は上記のとおり |
では、自分の事業所はどう判断すればよいか。 次の順で整理してください。
- まず自分が免税事業者かどうかを確認する:グループホームは収入の多くが非課税のため、課税売上高1,000万円以下の免税事業者であることが少なくありません。免税事業者であれば、この区分が納税額に影響することはありません。ただし、適格請求書発行事業者(インボイス)の登録を受けている場合は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務は免除されません(国税庁 No.6501)。
- 家賃と一体で受け取っているか、別建てかを確認する:共用部分の費用を家賃と一体の共益費として受け取っている場合は、家賃に含まれ非課税です。判断が分かれるのは、専有部分の使用実績などにもとづいて別建てで請求している場合だけです。
- 契約書・重要事項説明書の費目と、実際の請求・精算をそろえる:どの費目をいくら、どういう根拠で受け取っているのかが書面と一致していないと、どちらの整理を採るにしても説明ができません。実地指導でも確認される箇所です。
- 課税事業者(またはその見込み)なら、金額を確定する前に確認する:契約書と請求書の実物を持って、所轄税務署または顧問税理士にご相談ください。金額を確定してから遡って直すのは、利用者への返金や再計算をともなうため負担が大きくなります。
なお、利用者が使った実費を事業所がいったん立て替え、メーター等の実測に応じて精算するだけの場合は、課税対象外(立替金)として扱われることもあります。いずれの整理を採る場合でも、家賃と光熱費は消費税の区分が異なりうるため、売上科目を分けて別々に集計できる状態にしておくことが前提になります。事業所が電力会社・ガス会社へ支払う料金は課税仕入れです。
家賃助成(特定障害者特別給付費=補足給付)はどう処理する?
特定障害者特別給付費(補足給付)は、家賃の支払いに充てられる国の給付で、家賃収入(非課税)に対応する性格を持つため、単純な「不課税の雑収入」とまとめないよう注意が必要です。
特定障害者特別給付費(補足給付)とは、障害者総合支援法に基づき、低所得の共同生活援助の利用者に対して家賃の一部を補助する給付です。対象は生活保護受給者または市町村民税非課税世帯で、補助額は月額1万円が上限(家賃が1万円未満ならその実額)です。多くは事業所が代理受領し、補助分を差し引いて利用者に請求します(藤井寺市・厚生労働省)。
会計処理では、次の2つを混同しないことが大切です。
- 補足給付(特定障害者特別給付費):家賃に充当される給付。家賃(非課税)の支払いに対応する。
- 自治体独自の上乗せ家賃助成:自治体の補助金。対価性がなければ消費税は不課税(課税対象外)となる場合がある(国税庁 No.6157 参照)。
どちらに該当し、消費税区分や売上科目をどう設定するかは実態によって判断が必要です。判断に迷う場合は所轄税務署にご確認ください。
グループホームの会計でよくある誤りは?
最も多いのは、消費税区分の違うお金を一つの売上にまとめてしまう誤りです。典型例は次の3つです。
- 報酬・家賃・光熱費を「売上」一本で管理している:報酬と家賃は非課税、個別に受け取る専有部分の光熱費は取扱いが分かれるため、まとめると消費税を正しく計算できないうえ、区分をあとから検証することもできなくなります。
- 利用者負担分と事業所負担分の按分をしていない:共用部分など事業所が負担すべき光熱費まで利用者から受け取った扱いにしたり、その逆にしたりすると収支が実態と合わなくなります。受け取った金額と支出を対応させて処理します。
- 家賃助成・補助金を課税売上に含めている:対価性のない補助金を課税売上に入れると、消費税を余計に納めてしまうおそれがあります。
実地指導ではどこを確認される?
実地指導では、利用者との契約書に家賃・光熱費などの負担額が明記されているか、そして請求額・受領額と帳簿が一致しているかが確認されます。
「重要事項説明書」や利用契約書に家賃・共益費・光熱費・食費の額が明示されているか、利用者へ交付した請求書・領収書の金額と帳簿上の収入が一致しているかが見られます。金額が食い違うと説明を求められることがあるため、契約書・請求書・会計データの3点を一致させておきましょう。
まとめ
グループホームの家賃・光熱費は、消費税の区分(非課税・課税・不課税)が混在する点が会計処理の難所です。
- 利用者から受け取る家賃:非課税(住宅の貸付け)
- 共益費(家賃と一体で受領):非課税
- 個別に受け取る専有部分の光熱費:取扱いが分かれる(個別確認が必要)。まず免税事業者かどうか、次に家賃と一体か別建てかを確認する(実費の立替精算にすぎない場合は不課税のことも)
- 報酬・家賃・光熱費は売上科目を分けて管理する
- 補足給付・補助金は性格を見極め、課税売上に含めない
消費税区分の取り違えは、納税額の過不足や実地指導での指摘につながります。障害福祉に強い税理士に相談したい方は、Hands On会計事務所(大阪・障害福祉専門の税理士)の無料相談をご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. グループホームの家賃に消費税はかかりますか?
A. 利用者から受け取る家賃は住宅の貸付けにあたるため、消費税は非課税です。事業所が大家へ支払う居住用建物の賃借料も非課税です(国税庁 No.6226)。
Q. 利用者から受け取る光熱費は課税ですか、非課税ですか?
A. 共用部分の費用を家賃と一体の共益費として受け取る場合は非課税です(国税庁 No.6226)。一方、専有部分の電気・ガス・水道を家賃と別建てで受け取る場合は取扱いが分かれます。社会福祉事業として非課税とする整理(消費税法 別表第二 第七号ロ・指定基準210条の4第3項3号)と、住宅の貸付けの枠組みで課税とする見解(国税庁 質疑応答事例「集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定」)があり、障害福祉のグループホームを直接扱った国税庁の公表事例は見当たりません。まず自分が免税事業者かどうかを確認し、課税事業者(またはその見込み)であれば、契約書と請求書を持って所轄税務署または顧問税理士にご確認ください。
Q. 家賃助成(補足給付)は売上に計上しますか?
A. 特定障害者特別給付費(補足給付)は家賃に充当される国の給付で、家賃収入(非課税)に対応する性格です。自治体独自の上乗せ家賃助成(補助金)は対価性がなければ不課税となる場合があります。いずれも課税売上に含めないのが基本ですが、科目や区分の設定は実態に応じて税務署・税理士にご確認ください。
Q. 報酬と家賃・光熱費は同じ売上科目でまとめてよいですか?
A. まとめてはいけません。報酬と家賃は非課税、専有部分の光熱費を家賃と別建てで受け取る場合は取扱いが分かれるため、1つの売上科目にまとめると消費税を正しく計算できないうえ、どちらの整理を採ったのかをあとから検証することもできなくなります。報酬・家賃・共益費・光熱費は売上科目を分けて管理してください。
参考資料
- No.6226 住宅の貸付け(国税庁)
- 集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定(国税庁 質疑応答事例)
- No.6201 非課税となる取引(国税庁)
- グループホームにかかる家賃補助(補足給付)について(藤井寺市)
- e-Gov法令検索|消費税法 別表第二 第七号ロ・第十三号
- e-Gov法令検索|指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準 第210条の4第3項
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Hands On会計事務所は、大阪府柏原市を拠点に、障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)を専門にサポートしている税理士事務所です。家賃・共益費・光熱費・食費の区分経理、消費税の課税・非課税の判定、実費徴収と預り金の管理、補足給付の処理、決算・申告まで、現場を知る税理士が一気通貫でお手伝いします。支援員としての現場経験をもとに、専門用語をかみくだいてご説明しますので、税務が苦手な方もご安心ください。個別支援計画AIや予約管理システムといったITツールは顧問先に無償でご提供しており、事務負担の軽減にもつながります。柏原市・八尾市・東大阪市・藤井寺市・羽曳野市・松原市・大阪市・堺市をはじめ大阪府全域に対応し、初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)の税務・会計・加算を専門に支援する税理士事務所です。最終更新日:2026年8月16日
