グループホームの給与計算|世話人・生活支援員の夜勤と宿直の違いを税理士が解説

グループホームの給与計算|世話人・生活支援員の夜勤と宿直の違いを税理士が解説

障害福祉のグループホーム(共同生活援助)は、世話人・生活支援員・夜間支援従事者など複数の勤務形態が混在し、給与計算が最も複雑になる事業類型のひとつです。本記事では、間違えやすい「夜勤」と「宿直」の違い、割増賃金、変形労働時間制、処遇改善加算の按分を、大阪の障害福祉専門税理士の視点で整理します。結論を先にお伝えすると、給与計算でいちばん事故が起きやすいのは「実態は夜勤なのに宿直として処理してしまうケース」です。

目次

グループホームの職員にはどんな勤務形態がありますか?

グループホームには日中から夜間まで途切れない支援が必要なため、職種ごとに勤務時間帯が大きく異なります。とくに世話人と夜間支援従事者は変則的な勤務になりやすく、給与計算の論点がここに集中します。

職種主な業務勤務形態の特徴
サービス管理責任者個別支援計画作成・利用者対応日中中心の常勤
世話人食事・洗濯・金銭管理などの生活支援早朝・夕方・夜間に分かれた変則勤務
生活支援員入浴・排泄・通院介助などの身体介助日中・夜間のシフト勤務
夜間支援従事者夜間の見守り・緊急対応夜勤または宿直

夜勤と宿直の区分や割増賃金の計算に迷う場合は、障害福祉専門の税理士にご相談ください。初回無料相談はこちら

「夜勤」と「宿直」は何が違うのですか?

結論から言うと、夜勤と宿直は労働基準法上まったく別の扱いで、最大の分かれ目は「実際に働いているかどうか」です。

夜勤とは、夜間(深夜帯を含む)にも通常どおりの業務を行う勤務のことで、その時間はすべて労働時間として扱われます。一方、宿直とは、ほとんど労働がなく待機・巡回が中心の断続的な勤務のことで、労働基準監督署長の許可(断続的労働の許可)を受けてはじめて、労働時間規制の適用除外として扱えます。

許可の基準は厳しく、厚生労働省・労働局の資料によると、宿直には次のような条件が示されています。

項目内容(許可基準)出典
勤務の態様常態としてほとんど労働がなく、軽度・短時間の業務に限る厚生労働省・各労働局
回数の限度宿直は週1回、日直は月1回が限度(労働密度が薄い場合は超えて許可されることもある)厚生労働省・各労働局
手当の最低額同種業務に従事する労働者の1人1日平均賃金額の3分の1以上厚生労働省・各労働局
睡眠設備宿直には相当の睡眠設備の設置が必要厚生労働省・各労働局

グループホームで利用者の介助・服薬対応・夜間の緊急対応など実際の労働を伴う夜間勤務は、宿直ではなく夜勤として処理しなければなりません。宿直として運用していたが実態は夜勤だったと判断されると、未払賃金(深夜割増を含む)の遡及支払を求められることがあります。

なお、宿直の許可を受けて労働時間規制の適用が除外された場合でも、深夜業(22時〜翌5時)の割増賃金まで免除されるわけではありません。労働基準法では深夜業の割増は適用除外の対象外とされているため、宿直中に深夜帯にかかる場合は深夜割増の支払いが必要です(出典:厚生労働省・労働局)。判断が難しい論点なので、自社の運用は社会保険労務士と確認することをおすすめします。

割増賃金の率はどう計算しますか?

夜勤やシフト勤務では、深夜・時間外・休日の割増が重なって発生します。割増率は労働基準法で次のように定められています(出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」、大阪労働局)。

労働の種類割増率
時間外労働(法定外)25%以上
1か月60時間を超える時間外労働50%以上
深夜労働(22時〜翌5時)25%以上
法定休日労働35%以上
時間外労働+深夜労働50%以上(25%+25%)
法定休日労働+深夜労働60%以上(35%+25%)

世話人・生活支援員が遅番(夕方〜22時)と早番(朝5時〜)にまたがって勤務する場合は、深夜帯にかかる時間を正確にカウントすることが欠かせません。割増賃金の基本的な計算方法そのものについては、あわせて読みたい記事として障害福祉事業所の割増賃金・深夜手当の正しい計算方法もご覧ください。本記事ではグループホーム特有の勤務形態に絞って解説します。

変形労働時間制は導入すべきですか?

夜勤を含むシフト勤務では、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超えやすくなります。これを柔軟に運用する方法が変形労働時間制です。グループホームのように繁閑や勤務時間帯に波がある事業所では、検討する価値があります。

  • 1か月単位の変形労働時間制:労使協定または就業規則で各日・各週の労働時間をあらかじめ特定し、1か月以内を平均して週40時間以内に収めれば、特定の日や週の超過が直ちに時間外労働にならない制度です。労使協定・就業規則は所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。
  • 1年単位の変形労働時間制:労使協定を締結し、1か月を超え1年以内の期間を平均して週40時間以内に収める制度です。所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。

(出典:厚生労働省・労働局)。利用者の体調変動でシフトが動きやすいグループホームでは、対象期間を短く設定できる1か月単位の方が運用しやすい傾向があります。

処遇改善加算はどのように按分しますか?

処遇改善加算による賃金改善は、対象となる職員に対して合理的な基準で按分し、賃金改善計画書に明記しておくことが基本です。グループホームでは常勤・非常勤・複数事業所兼務が混在するため、按分ルールがあいまいだと職員間の不公平感やトラブルにつながります。

パターン按分の考え方(例)
常勤専従満額を対象とする
非常勤(GH専従)勤務時間の比率で按分
GHと就労継続支援B型の兼務各事業所での勤務時間比で按分し、複数事業所で二重に計上しない
サビ管(管理者兼務)サビ管としての職務時間の比率で按分

処遇改善加算は加算区分や年度によって要件・取扱いが変わるため、具体的な配分方法や対象職種は、必ず最新の厚生労働省資料や自治体の通知で確認してください。賃金規程または別途規程として整備しておくと、実地指導の際にも説明しやすくなります。

なお、グループホームの経理は人件費だけでは完結しません。利用者から受け取る家賃・食材費・光熱費に消費税がかかるのかどうかは障害者グループホームに消費税はかかる?で、その家賃をいつ・いくら収益に計上するのか(法人税の扱い)はグループホームの家賃収入は法人税でどう計上する?で解説しています。給与計算とあわせて整えておくと、決算で慌てずに済みます。

まとめ

  • 夜勤と宿直は実態で判断する。介助・対応がある夜間勤務は宿直ではなく夜勤
  • 宿直は労基署長の許可が必要で、回数や手当額などの厳しい基準がある
  • 宿直の許可があっても深夜帯(22時〜翌5時)の深夜割増は必要
  • 深夜25%・法定休日35%などの割増は重複して加算される
  • シフト勤務には変形労働時間制の活用を検討する
  • 処遇改善加算は勤務時間比で按分し、規程で明文化する

給与計算は労務トラブルが最も起きやすい領域です。「自社の処理で合っているか不安」という方は、障害福祉に強い税理士に相談したい方は、Hands On会計事務所(大阪・障害福祉専門の税理士)の無料相談をご利用ください。

よくある質問(FAQ)

Q. グループホームの夜間支援は夜勤と宿直のどちらで処理すべきですか?

A. 利用者の介助・服薬対応・緊急対応など実際の労働を伴う場合は夜勤です。宿直として処理できるのは、ほとんど労働がなく待機・巡回が中心で、労働基準監督署長の許可を受けた断続的勤務に限られます。

Q. 宿直の許可を受ければ深夜割増は払わなくてよいのですか?

A. いいえ。宿直の許可で労働時間規制は適用除外になりますが、深夜業の割増は除外されません。深夜帯(22時〜翌5時)にかかる場合は深夜割増の支払いが必要です(出典:厚生労働省・労働局)。

Q. 宿直は何回まで認められますか?

A. 厚生労働省・労働局の許可基準では、宿直は週1回、日直は月1回が限度とされています。ただし労働密度が薄い場合は、これを超えて許可されることもあります。

Q. 深夜の時間外労働が重なると割増率はどうなりますか?

A. 時間外労働(25%以上)と深夜労働(25%以上)が重なると合計50%以上、法定休日労働(35%以上)と深夜労働が重なると合計60%以上になります(出典:厚生労働省・大阪労働局)。

Q. シフトが多いグループホームに向く変形労働時間制はどちらですか?

A. 一概には言えませんが、利用者の体調でシフトが動きやすい場合は、対象期間を短く設定できる1か月単位の方が運用しやすい傾向があります。いずれも労使協定・就業規則の整備と労働基準監督署長への届出が必要です。

参考資料


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Hands On会計事務所は、大阪府柏原市を拠点に、障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)を専門にサポートしている税理士事務所です。夜勤と宿直の区分の整理、割増賃金・深夜手当の計算、変形労働時間制の設計と届出、給与計算と社会保険の実務まで、現場を知る税理士が一気通貫でお手伝いします。支援員としての現場経験をもとに、専門用語をかみくだいてご説明しますので、税務が苦手な方もご安心ください。個別支援計画AIや予約管理システムといったITツールは顧問先に無償でご提供しており、事務負担の軽減にもつながります。柏原市・八尾市・東大阪市・藤井寺市・羽曳野市・松原市・大阪市・堺市をはじめ大阪府全域に対応し、初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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執筆・監修:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所(税理士事務所・大阪府柏原市)

障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)の税務・会計・加算を専門に支援する税理士事務所です。最終更新日:2026年7月26日

執筆者:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所

障害福祉に携わって通算10年。障害福祉を専門とする税理士法人で6年間、事業所の税務・会計を担当したのち、就労継続支援B型・生活介護の多機能型事業所に4年間勤務しました。目標工賃達成指導員として支援記録の整備・国保連への請求・実地指導対応・経理を担当し、見守り支援や利用者の送迎にも携わっています。2025年10月にHands On会計事務所を開業しました。

国保連への請求が現場でどう回っているのか、実地指導の当日までに何が起きるのか、経営者や職員がどう動いているのか——税務を担当していたときには見えなかったことを、内側から4年間経験しています。制度の解説だけでなく、現場で実際に何が起きているかを踏まえてお答えできるのが強みです。

大阪府柏原市を拠点に、就労継続支援・放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホームの税務・会計・加算を専門に支援しています。大阪府全域対応/初回相談は無料です。障害福祉専門の税理士事務所についてご相談はこちら

Hands On会計事務所は、国の認定を受けた認定経営革新等支援機関(ID:109927003701)です。障害福祉事業の融資・補助金・事業計画の策定支援にも対応しています。無料相談はこちら

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