放課後等デイサービスの確定申告で注意すべき3つのこと

放課後等デイサービスの確定申告で注意すべき3つのこと

「放課後等デイサービスを運営しているけれど、確定申告のときに何を気をつければいいのかわからない」——そんなお悩みをよくいただきます。

放デイの会計処理には、一般的な事業とは異なる独特のポイントがいくつかあります。この記事では、特に間違えやすい3つの注意点を具体例つきでわかりやすく解説します。

目次

給付費はいつ売上に計上する?|入金月ではなくサービス提供月

放課後等デイサービスの障害児通所給付費は、入金された月ではなく、サービスを提供した月の売上に計上します。国保連(国民健康保険団体連合会)からの入金はサービス提供月の約2か月後になるため、入金を基準に処理すると売上が期をまたいでずれてしまいます。

放課後等デイサービスの売上の大部分は、国保連から入金される障害児通所給付費です。この給付費の「売上をいつ計上するか」が、最初の大きなポイントになります。

この論点でお困りではありませんか?

給付費の売上計上を提供月にそろえられているか、決算前に一度点検します。決算月をまたぐ2か月分の未収金は金額が大きいだけに、ずれたときの影響も大きくなります。

よくある間違い:入金された月に売上を計上してしまう

国保連への請求は、サービスを提供した月の翌月10日までに行い、実際に入金されるのはさらにその翌月(つまりサービス提供月の2か月後)です。

たとえば、12月にサービスを提供した分は、翌年2月頃に入金されます。

ここで「入金された2月に売上を計上する」と、12月決算の法人であれば本来12月に計上すべき売上が翌期にずれてしまいます。

正しい処理

売上はサービスを提供した月に計上するのが原則です。12月にサービスを提供したのであれば、まだお金が届いていなくても12月の売上として計上します。会計上は「未収金(売掛金)」として処理しましょう。

決算月の前後は特に注意が必要です。税務調査でも真っ先に確認されるポイントですので、毎月きちんと「サービス提供月=売上計上月」を徹底してください。

人件費の処理で何に気をつける?|源泉徴収・年末調整・扶養控除等申告書

放課後等デイサービスの人件費で間違えやすいのは、源泉所得税の納付漏れ・年末調整のもれ・扶養控除等申告書の未回収の3つです。いずれも金額そのものより、手続きを飛ばしてしまうことで後から修正が必要になるタイプのミスです。

放課後等デイサービスは、児童発達支援管理責任者や児童指導員など、多くのスタッフを配置する必要があります。人件費が経費の大半を占めるため、この部分の処理を正しく行うことがとても重要です。

押さえておきたいポイント

  • 源泉所得税の納付漏れに注意

スタッフに給与を支払うたびに、源泉所得税を差し引いて預かり、原則として翌月10日までに税務署に納付する必要があります。「納期の特例」を届け出ている場合は年2回の納付でOKですが、届出を忘れている事業所も少なくありません。

  • 年末調整を忘れない

12月(または退職時)に年末調整を行い、スタッフの所得税の過不足を精算します。これを行わないと、スタッフ本人が確定申告をしなければならなくなり、トラブルの原因になります。

  • パート・アルバイトの扶養控除申告書

短時間勤務のスタッフにも「扶養控除等申告書」を提出してもらいましょう。これがないと源泉徴収税額が高い「乙欄」で計算されてしまい、スタッフの手取りが減ってしまいます。

人件費の処理は金額が大きいだけに、ミスがあると修正の影響も大きくなります。日頃から給与計算ソフトなどを活用して正確に管理することをおすすめします。

放課後等デイサービスに消費税はかかる?|給付費は非課税

放課後等デイサービスの障害児通所給付費と利用者負担金は、消費税が非課税です。ただし、おやつ代などの実費徴収分や放デイ以外の事業収入は課税売上になるため、その課税売上が年間1,000万円を超えると、2年後から消費税の納税義務が生じます。

「うちはまだ売上が小さいから消費税は関係ない」と思っていませんか? 放デイの消費税判定には、少し注意が必要です。

障害児通所給付費は「非課税売上」

国保連から受け取る給付費や、利用者負担金(1割負担分)は消費税が非課税です。つまり、これらの売上がいくら大きくなっても、それだけでは消費税の納税義務は発生しません。

ただし課税売上がある場合は要注意

一方で、以下のような収入は消費税の課税対象になります。

  • おやつ代・教材費などの実費徴収分
  • 放デイ以外の事業(たとえば物販やコンサル)の収入
  • 施設の一部を第三者に貸している場合の賃料

これらの課税売上が年間1,000万円を超えた場合、その2年後から消費税の申告・納税義務が生じます。複数事業所を展開して規模が大きくなってきた事業者さんは、課税売上をしっかり把握しておきましょう。

また、2023年10月から始まったインボイス制度についても、取引先との関係で登録が必要になるケースがあります。判断に迷ったら早めに専門家に相談するのが安心です。

放課後等デイ特有の会計・加算に不慣れな税理士だと処理を誤ることもあるため、確定申告は障害福祉に強い税理士に相談すると安心です。放デイ・児発に絞った対応内容は「放課後等デイ・児童発達支援の税理士」でご紹介しています。

現場から見ると|大人の施設との決定的な違いと、開所時期の落とし穴

放課後等デイサービスの決算が他のサービスと決定的に違うのは、国保連からの給付費に加えて、保護者の方からいただく自己負担金の収入があることです。大人の施設では利用者の多くが生活保護を受給されているため自己負担金がほとんど発生せず、収入の構造そのものが変わります。

もう一つ、開業1年目でとくに注意していただきたいのが開所の時期です。子どもの通所施設は年度単位で動くため、タイミングを誤ると1年近く利用者が集まらないことが現実に起こり得ます。ここに内装工事や消防設備の想定超過、背伸びした家賃、児童発達支援管理責任者の人件費が重なり、給付費の入金が2か月遅れる資金サイクルとかみ合わないと、開業まもない時期に資金が尽きます。

決算前にいちばん多いご質問は「この決算書で銀行融資は通りますか」です。逆に言えば、決算は税金の計算だけでなく、次の資金調達のための資料でもあります。

まとめ

放課後等デイサービスの確定申告で注意すべきポイントを3つご紹介しました。

  1. 給付費の売上はサービス提供月に計上する(入金月ではない)
  2. 人件費の処理は源泉徴収・年末調整まで漏れなく行う
  3. 消費税の課税・非課税を正しく区分し、納税義務の判定を行う

どれも基本的なことではありますが、実際には「なんとなく」で処理してしまい、後から修正申告が必要になるケースは少なくありません。

日々の支援業務に追われる中で、税務・会計まで完璧に対応するのは大変なことです。「これで合っているのかな?」と少しでも不安を感じたら、障害福祉事業に詳しい専門家に相談することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 放課後等デイサービスの給付費はいつ売上に計上しますか?

A. サービスを提供した月に計上します。国保連からの入金はサービス提供月の約2か月後になりますが、売上はサービス提供月に計上し、入金までの間は未収金(売掛金)として処理します。入金月に計上すると、決算月をまたぐ2か月分の売上が翌期にずれてしまいます。

Q. 放課後等デイサービスに消費税はかかりますか?

A. 障害児通所給付費と利用者負担金は消費税が非課税です。一方で、おやつ代・教材費などの実費徴収分、放デイ以外の事業収入、施設の一部を第三者に貸している場合の賃料は課税売上になります。非課税の給付費は納税義務の判定には含めません。

Q. 源泉所得税の納期の特例とは何ですか?

A. 源泉所得税の納期の特例とは、給与の支給人員が常時10人未満の事業者が、毎月の納付に代えて年2回(7月10日と翌年1月20日)にまとめて納付できる制度です。適用を受けるには事前に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出する必要があり、届出をしていない場合は原則どおり支給月の翌月10日までの納付になります。

Q. 放課後等デイサービスの確定申告は法人税の申告のことですか?

A. 法人税の確定申告(決算申告)を指します。放課後等デイサービスの指定は、児童福祉法第21条の5の15第3項第1号により「申請者が都道府県の条例で定める者でないとき」は受けられない仕組みで、大阪府はこの条例上の要件として法人であることを求めています。個人事業主のままでは指定を受けられないため、確定申告は所得税ではなく法人税の申告になります。条例の細目は指定権者(大阪府・政令市・中核市など)の指定申請の手引きでご確認ください。

参考資料


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Hands On会計事務所では、初回相談を無料で承っております。
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執筆・監修:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所(税理士事務所・大阪府柏原市)

障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)の税務・会計・加算を専門に支援する税理士事務所です。最終更新日:2026年8月24日

執筆者:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所

障害福祉に携わって通算10年。障害福祉を専門とする税理士法人で6年間、事業所の税務・会計を担当したのち、就労継続支援B型・生活介護の多機能型事業所に4年間勤務しました。目標工賃達成指導員として支援記録の整備・国保連への請求・実地指導対応・経理を担当し、見守り支援や利用者の送迎にも携わっています。2025年10月にHands On会計事務所を開業しました。

国保連への請求が現場でどう回っているのか、実地指導の当日までに何が起きるのか、経営者や職員がどう動いているのか——税務を担当していたときには見えなかったことを、内側から4年間経験しています。制度の解説だけでなく、現場で実際に何が起きているかを踏まえてお答えできるのが強みです。

大阪府柏原市を拠点に、就労継続支援・放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホームの税務・会計・加算を専門に支援しています。大阪府全域対応/初回相談は無料です。障害福祉専門の税理士事務所についてご相談はこちら

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