就労継続支援A型の生産活動収支が赤字だと報酬が下がる?黒字化の会計ポイントを税理士が解説
就労継続支援A型の基本報酬は、令和6年度の報酬改定で「スコア方式」へと見直され、評価項目のひとつに「生産活動の収支状況」が組み込まれました。生産活動収支が利用者賃金総額を下回ると評価(スコア)が下がり、報酬単価に影響します。結論として、A型事業所が報酬を守るには、生産活動の経費区分を整理し、賃金とのバランスを見ながら毎月の収支を黒字に保つことが欠かせません。
就労継続支援A型の基本報酬はどう決まる?
就労継続支援A型の基本報酬は、複数の評価項目を点数化して決まる「スコア方式」で評価されます。スコア方式とは、事業所の取り組みや経営状況を項目ごとに採点し、その合計点に応じて報酬単価(区分)が決まる仕組みです。
令和6年度の報酬改定では、評価項目が見直され、次の7項目で評価されることになりました。
| 評価項目 | 内容のイメージ |
|---|---|
| (1) 1日の平均労働時間 | 利用者の平均労働時間が長いほど評価が高い |
| (2) 生産活動の収支状況 | 生産活動収支が賃金総額を上回ると加点・下回ると減点 |
| (3) 多様な働き方 | 短時間勤務・在宅など柔軟な働き方への対応 |
| (4) 支援力向上 | 職員研修など支援の質を高める取り組み |
| (5) 地域連携活動 | 地域の企業・行政等との連携 |
| (6) 経営改善計画 | 計画の作成・提出(未提出は減点) |
| (7) 利用者の知識及び能力向上 | 一般就労に向けたスキルアップ支援 |
出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容」
各項目の配点や要件は告示・通知で定められ、改定のたびに見直されます。最新の配点・要件は厚生労働省の告示・通知でご確認ください(記事末尾の参考リンク参照)。
自事業所の生産活動収支や報酬区分の見通しを確認したい場合は、障害福祉専門の税理士にご相談ください。初回無料相談はこちら
生産活動収支が赤字だと報酬は下がる?
結論からいうと、生産活動収支が利用者賃金総額を下回る(赤字)と、スコア方式の「生産活動」項目で減点となり、報酬に影響します。 逆に、賃金総額を上回れば加点されます(出典:厚生労働省、前掲資料)。
生産活動収支は、ざっくり次の式でとらえます。
生産活動収支 = 生産活動収益 −(生産活動の必要経費 + 利用者賃金)
最低賃金以上の利用者賃金を確保しながら、生産活動から十分な収益を生み出さなければならない点が、A型経営の難しさです。
なお令和6年度改定では、スコア方式の評価内容を事業所のホームページ等で公表する義務が設けられ、未公表の場合は報酬が減算されます。
生産活動収支を黒字化する会計のポイントは?
黒字化のカギは、数字を正しく把握できる会計の整備です。ポイントは次の3つです。
経費区分を分けて管理していますか?
A型事業所の経費は、大きく次のように分けられます。生産活動と訓練等の経費が混ざっていると、生産活動の本当の収支が見えません。
| 区分 | 例 |
|---|---|
| 生産活動の経費 | 製造原価・仕入原価・販促費・配送費 |
| 訓練等給付費に対応する経費 | 職員人件費(一部)・事業所家賃 |
| 共通管理費 | 事務所運営費・管理者人件費 |
科目を分けて記帳し、共通経費は合理的な基準で按分することが、収支を正確に出す第一歩です。
区分が必要なのは損益だけではありません。生産活動の売上は消費税の課税取引で、報酬(給付費)は非課税です。この区分の考え方と、課税事業者になるかどうかの判定は就労継続支援B型に消費税はかかる?|報酬は非課税・生産活動は課税の区分で解説しています。B型を例にしていますが、非課税と課税の分け方はA型でも同じです。
利用者賃金は最低賃金を確保できていますか?
A型は雇用契約に基づくため、最低賃金が適用されます。 最低賃金を下回る支払いは労働基準法違反です。一方で、賃金は生産活動収支を圧迫する最大の要素でもあります。最低賃金を確実に守りつつ、生産性とのバランスをとった賃金設計が欠かせません。
大阪府の最低賃金額、利用者賃金に自立支援給付(報酬)を充てられない根拠(指定基準第192条)、赤字になったときの経営改善計画書の提出義務は就労継続支援A型の最低賃金と赤字経営にまとめています。本記事が会計の整え方、あちらが賃金と人件費の考え方という役割分担です。
補助金・助成金を正しく処理していますか?
雇用関連の助成金など賃金を補填する性質の収入は、生産活動収益と混同しないよう区分して処理します。生産活動収益に紛れ込ませると本来の生産性が見えにくくなります。集計上の取扱いは最新の報酬告示・自治体の案内でご確認ください。
月次決算で見るべき数字は?
年度末に慌てないよう、毎月以下を可視化しましょう。
- 生産活動収益
- 生産活動の必要経費
- 利用者賃金総額
- 生産活動収支(プラスかマイナスか)
- 1人あたり生産性
月次決算の具体的な組み方は障害福祉事業所の月次決算の組み方もあわせてご覧ください。
まとめ
就労継続支援A型の基本報酬は令和6年度改定でスコア方式となり、生産活動収支が利用者賃金総額を下回ると評価が下がります。報酬を守るには、次の4点を意識しましょう。
- 生産活動の経費は科目を分けて管理する
- 利用者賃金は最低賃金を確保しつつ生産性とのバランスをとる
- 補助金・助成金は生産活動収益と区分して処理する
- 毎月、生産活動収支がプラスかマイナスかを確認する
障害福祉に強い税理士に相談したい方は、Hands On会計事務所(大阪・障害福祉専門の税理士)の無料相談をご利用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 就労継続支援A型の生産活動収支が赤字だと報酬は減りますか?
A. はい。令和6年度改定のスコア方式では「生産活動の収支状況」が評価項目となっており、生産活動収支が利用者賃金総額を下回ると減点され、報酬単価に影響します。逆に上回れば加点されます。
Q. スコア方式の評価項目は何項目ありますか?
A. 令和6年度改定では、(1)1日の平均労働時間(2)生産活動の収支状況(3)多様な働き方(4)支援力向上(5)地域連携活動(6)経営改善計画(7)利用者の知識及び能力向上、の7項目で評価されます。具体的な配点は厚生労働省の告示・通知でご確認ください。
Q. 利用者賃金は生産活動の収益から払わなければいけませんか?
A. A型は雇用契約に基づくため最低賃金の確保が必要です。生産活動収支は「収益−(経費+賃金)」で見るため、賃金を生産活動収益でまかなえているかが評価上重要になります。賃金を下げて収支を合わせるのではなく、生産性を高める方向での改善が基本です。
Q. スコア方式の評価内容は公表が必要ですか?
A. 令和6年度改定で、評価内容を事業所のホームページ等で公表することが求められ、公表していない場合は報酬が減算されます。最新の公表方法・様式は自治体の案内でご確認ください。
参考資料
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Hands On会計事務所は、大阪府柏原市を拠点に、障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)を専門にサポートしている税理士事務所です。生産活動収支の把握と改善計画づくり、スコア方式を踏まえた経営数値の管理、最低賃金と人件費のバランス調整、月次決算の仕組みづくりまで、現場を知る税理士が一気通貫でお手伝いします。支援員としての現場経験をもとに、専門用語をかみくだいてご説明しますので、税務が苦手な方もご安心ください。個別支援計画AIや予約管理システムといったITツールは顧問先に無償でご提供しており、事務負担の軽減にもつながります。柏原市・八尾市・東大阪市・藤井寺市・羽曳野市・松原市・大阪市・堺市をはじめ大阪府全域に対応し、初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。
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執筆・監修:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所(税理士事務所・大阪府柏原市)
障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)の税務・会計・加算を専門に支援する税理士事務所です。最終更新日:2026年7月26日
