専門的支援実施加算と体制加算の違い|単位数・要件を税理士が解説

専門的支援実施加算と体制加算の違い|単位数・要件を税理士が解説

「専門的支援加算って令和6年度の改定でどう変わったの?」「体制加算と実施加算は何が違うの?」というご相談を、放課後等デイサービス・児童発達支援の経営者・管理者の方からよくいただきます。この記事では、専門的支援体制加算と専門的支援実施加算の違い、単位数、算定要件、対象専門職、届出の手順を整理します。結論として、令和6年度報酬改定で従来の加算が「専門職の配置を評価する体制加算」と「専門的支援の実施を評価する実施加算」の2つに再編され、要件を満たせば両方を併せて算定できます。

目次

専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は何が違う?

専門的支援体制加算は理学療法士等の専門職を「配置していること」を評価する加算で、専門的支援実施加算は専門職が計画に基づいて専門的支援を「実施したこと」を評価する加算です。評価する対象が異なる別々の加算であり、要件を満たせば併せて算定できます。

自事業所で専門的支援加算を算定できるかの判断に迷う場合は、障害福祉専門の税理士にご相談ください。初回無料相談はこちら

2つの加算の違いを整理すると次のとおりです。

比較項目専門的支援体制加算専門的支援実施加算
何を評価するか専門職の配置(体制)専門的支援の実施
単位数(放課後等デイ・児童発達支援事業所)1日49〜123単位(定員規模による)1日につき150単位
算定の単位1日につき(配置している日は毎日)1日につき(月の回数上限あり。同じ日に2回支援しても1日分)
専門職の配置形態基準人員に加えて常勤換算1以上単なる配置で可(基準人員による配置も可)
計画の要否不要専門的支援実施計画が必要
記録の要否勤務体制がわかる書類対象児ごとの支援記録が必要
併算定実施加算と併算定できる体制加算と併算定できる
届出要(都道府県等への体制届)要(都道府県等への体制届)

出典:こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改定事項の概要」。「体制加算を算定しているから実施加算も自動的に算定できる」わけではありません。 実際に専門的支援を行い、計画と記録を残して初めて実施加算が算定できます。

令和6年度改定で専門的支援加算はどう変わった?

令和6年度報酬改定で、従来の「専門的支援加算」と「特別支援加算」が統合・再編され、専門的支援体制加算と専門的支援実施加算の2段階の評価に変わりました。 専門人材を活用し、ニーズを踏まえた計画的な専門的支援を進める観点からの見直しです。

改定前改定後
専門的支援加算(理学療法士等または児童指導員等を配置)専門的支援体制加算(理学療法士等を常勤換算1以上配置)
特別支援加算 54単位/回(理学療法士等を配置して専門的支援を計画的に実施。専門的支援加算との併算定不可)専門的支援実施加算 1日につき150単位(体制加算との併算定可)

改定前は「専門的支援加算」と「特別支援加算」を同時に算定できませんでしたが、改定後は体制加算と実施加算を併せて算定できるようになったのが最も大きな変更点です。旧加算を算定していた事業所も、改定後に改めて届出をしなければ算定できません。

専門的支援体制加算の単位数はいくら?

専門的支援体制加算の単位数は、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所(センター以外)で1日49〜123単位、児童発達支援センターで1日15〜41単位です。定員規模が大きくなるほど1日あたりの単位数は下がります。

主たる対象が重症心身障害児でない事業所の単位数は次のとおりです。

区分定員単位数(1日あたり)
放課後等デイサービス・児童発達支援(センター以外)10人以下123単位
同上11〜20人82単位
同上21人以上49単位
児童発達支援センター定員規模に応じ15〜41単位

出典:こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改定事項の概要」および「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」(令和8年度)。主たる対象が重症心身障害児の事業所には別の単位数が設定されています。単位数は報酬改定で見直されるため、算定にあたっては最新の報酬告示と指定権者の案内で必ずご確認ください。

体制加算は配置している日は毎日算定できるため、収益への影響が大きい加算です。定員10人以下の事業所が年間240日稼働し、平均10人が利用する場合、123単位×10人×240日で年間およそ29万5,200単位となり、地域区分によっては年300万円を超える収入になります。

専門的支援実施加算の単位数と月の算定回数は?

専門的支援実施加算の単位数は、児童発達支援・放課後等デイサービスとも1日につき150単位です。報酬告示上の算定単位は「1回につき」ではなく「1日につき」なので、同じ日に2回支援しても算定できるのは1日分(150単位)です。月の算定回数の上限は、対象児のその事業所での月の利用日数に応じて設定されています。

サービス対象児の月の利用日数算定回数の上限
放課後等デイサービス6日未満月2回
放課後等デイサービス6日以上12日未満月4回
放課後等デイサービス12日以上月6回
児童発達支援12日未満月4回
児童発達支援12日以上月6回

出典:こども家庭庁・厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援関係)改定事項の概要」。

算定にあたっては、次の要件を満たす必要があります。

  • 個別支援計画を踏まえ、理学療法士等が5領域(健康・生活/運動・感覚/認知・行動/言語・コミュニケーション/人間関係・社会性)のうち特定または複数の領域に重点を置いた「専門的支援実施計画」を作成すること
  • 当該計画に基づいて支援を行うこと。支援は個別での実施を基本とし、ニーズを踏まえたうえで小集団(5名程度まで)等での実施も可能
  • 専門的支援の時間は1回あたり30分以上を確保すること(同日の支援時間すべてである必要はありません)
  • 計画の実施状況を把握し、必要に応じて計画を見直すこと
  • 計画の作成・見直しにあたり、対象児および保護者へ説明し同意を得ること
  • 対象児ごとの支援記録を作成すること

実地指導では「計画・同意・記録」の3点がそろっているかが確認されます。 支援そのものは行っているのに、計画書と記録の様式が整っていないために算定できていない事業所は少なくありません。

加算の対象になる専門職は誰?

専門的支援体制加算・実施加算の対象となる専門職は、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・視覚障害児支援担当職員に加え、児童福祉事業に5年以上従事した保育士・児童指導員も含まれます。 リハビリ系の国家資格者だけではない点が、この加算の大きな特徴です。

  • 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)
  • 心理担当職員(大学で心理学を専修した者など)
  • 視覚障害児支援担当職員(研修修了等)
  • 保育士・児童指導員(資格取得・任用から5年以上児童福祉事業に従事した者に限る)

「うちには専門職はいない」と思っていた事業所でも、経験のある保育士・児童指導員が要件を満たしている場合があります。 職員の資格取得年月と、児童福祉事業への従事年数を一度確認してみてください。なお、特別支援学校などの教育現場での経験は児童福祉事業への従事には含まれません。

体制加算では、この専門職を基準人員に加えて常勤換算1以上配置している必要があります。実施加算では常勤換算までは求められず、基準人員として配置している職員が専門的支援を行う形でも算定できます。

加算取得までの4つのステップ

対象職員の確認から記録の整備まで、次の4ステップで進めます。届出をしないと算定できないため、順番に注意してください。

  1. 対象職員の確認:自事業所に対象資格を持つ職員がいるか、保育士・児童指導員の場合は児童福祉事業への従事が5年以上あるかを、資格証と職歴で確認します。
  2. 計画・勤務体制の整備:実施加算は専門的支援実施計画の様式を作成します。体制加算は常勤換算1以上の配置がわかる勤務形態一覧表を整えます。
  3. 届出書類の提出:指定権者(都道府県・市町村)へ体制届を提出します(資格証の写し・勤務形態一覧表など)。旧加算を算定していた事業所も、改定後に改めて届出が必要です。届出の期限は自治体で異なるため、必ず指定権者の案内で確認してください。
  4. 算定開始・記録の整備:実施した支援内容を対象児ごとに記録します。計画の見直し時期もあわせて決めておきます。

同じ令和6年度改定では、放課後等デイの送迎加算欠席時対応加算家族支援加算も見直されています。放デイ・児発で算定できる加算の全体像は「放デイ・児発の加算チェックリスト」で、加算の取りこぼしを防ぐ経営の考え方は「放課後等デイの加算取得チェックリスト完全版」で確認できます。

放デイ・児発で算定できる加算の全体像を単位数つきで見たい方は、「放課後等デイ・児童発達支援の加算一覧」をご覧ください。

まとめ

専門的支援体制加算と専門的支援実施加算のポイントは、次の5点です。

  1. 体制加算は「配置」、実施加算は「実施」を評価する別の加算で、要件を満たせば併せて算定できます。
  2. 専門的支援体制加算は1日49〜123単位(放デイ・児発事業所。定員10人以下123単位/11〜20人82単位/21人以上49単位)で、配置している日は毎日算定できます。
  3. 専門的支援実施加算は1日につき150単位で、対象児の月の利用日数に応じて放課後等デイは月2〜6回、児童発達支援は月4〜6回が上限です。
  4. 対象専門職には、児童福祉事業に5年以上従事した保育士・児童指導員も含まれます
  5. 算定には指定権者への届出が必要で、旧加算を算定していた事業所も改めて届出が必要です。

単位数・算定要件は報酬改定や自治体の運用で変わります。算定の最終判断は、最新の報酬告示・自治体の案内でご確認ください。

よくある質問(FAQ)

Q. 専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は両方取れますか?

A. 専門的支援体制加算と専門的支援実施加算は、要件を満たせば併せて算定できます。体制加算は専門職を基準人員に加えて常勤換算1以上配置している体制に対して、実施加算は専門的支援実施計画に基づき実際に支援を行った場合に算定するものです。令和6年度改定前の「専門的支援加算」と「特別支援加算」は併算定できませんでしたが、改定後は併算定が可能になりました。

Q. 専門的支援実施加算は1回いくら、月に何回まで取れますか?

A. 専門的支援実施加算は児童発達支援・放課後等デイサービスとも1日につき150単位です。月の算定回数の上限は対象児の月の利用日数に応じて設定されており、放課後等デイサービスは月2回(利用日数6日未満)・月4回(6日以上12日未満)・月6回(12日以上)、児童発達支援は月4回(12日未満)・月6回(12日以上)です。

Q. 専門的支援体制加算の単位数はいくらですか?

A. 専門的支援体制加算は、放課後等デイサービス・児童発達支援事業所(センター以外)で1日49〜123単位です。定員10人以下が123単位、11〜20人が82単位、21人以上が49単位で、児童発達支援センターは定員規模に応じて1日15〜41単位が設定されています。主たる対象が重症心身障害児の事業所には別の単位数が設定されています。

Q. 経験のある保育士や児童指導員でも対象になりますか?

A. 資格取得・任用から児童福祉事業に5年以上従事した保育士・児童指導員は、専門的支援体制加算・実施加算の対象専門職に含まれます。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理担当職員・視覚障害児支援担当職員と並ぶ対象です。なお、特別支援学校などの教育現場での経験は児童福祉事業への従事には含まれません。

Q. 旧「専門的支援加算」を算定していた事業所は手続きが必要ですか?

A. 旧「専門的支援加算」を算定していた事業所も、改めて指定権者への届出が必要です。令和6年度改定で加算が専門的支援体制加算と専門的支援実施加算に再編されたため、届出をしないと改定後の加算は算定できません。届出の期限は自治体で異なるため、指定権者の案内でご確認ください。


参考資料


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Hands On会計事務所は、大阪府柏原市を拠点に、障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)を専門にサポートしている税理士事務所です。対象職員の資格・経験年数の確認から専門的支援実施計画・勤務体制の整備、指定権者への体制届の作成・提出、算定開始後の記録整備、加算収入を織り込んだ収支計画づくりまで、現場を知る税理士が一気通貫でお手伝いします。支援員としての現場経験をもとに、専門用語をかみくだいてご説明しますので、税務が苦手な方もご安心ください。個別支援計画AIや予約管理システムといったITツールは顧問先に無償でご提供しており、事務負担の軽減にもつながります。柏原市・八尾市・東大阪市・藤井寺市・羽曳野市・松原市・大阪市・堺市をはじめ大阪府全域に対応し、初回相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。

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執筆・監修:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所(税理士事務所・大阪府柏原市)

障害福祉事業者(就労継続支援A型・B型、放課後等デイサービス、児童発達支援、グループホームなど)の税務・会計・加算を専門に支援する税理士事務所です。最終更新日:2026年8月8日

執筆者:税理士 栗谷川 雄介(登録番号 第157826号)/Hands On会計事務所

障害福祉に携わって通算10年。障害福祉を専門とする税理士法人で6年間、事業所の税務・会計を担当したのち、就労継続支援B型・生活介護の多機能型事業所に4年間勤務しました。目標工賃達成指導員として支援記録の整備・国保連への請求・実地指導対応・経理を担当し、見守り支援や利用者の送迎にも携わっています。2025年10月にHands On会計事務所を開業しました。

国保連への請求が現場でどう回っているのか、実地指導の当日までに何が起きるのか、経営者や職員がどう動いているのか——税務を担当していたときには見えなかったことを、内側から4年間経験しています。制度の解説だけでなく、現場で実際に何が起きているかを踏まえてお答えできるのが強みです。

大阪府柏原市を拠点に、就労継続支援・放課後等デイサービス・児童発達支援・グループホームの税務・会計・加算を専門に支援しています。大阪府全域対応/初回相談は無料です。障害福祉専門の税理士事務所についてご相談はこちら

Hands On会計事務所は、国の認定を受けた認定経営革新等支援機関(ID:109927003701)です。障害福祉事業の融資・補助金・事業計画の策定支援にも対応しています。無料相談はこちら

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